アルミボートで快適に釣りをするためにデッキは無くてはならないカスタムパーツのひとつです。
新艇や中古艇ではデッキが付いていることが多いですが、デッキが壊れたら自作する必要がありますよね。
また、新艇のデッキ付きだと価格が高いため、船体のみを買ってデッキはDIYで自作することで、費用を抑えることもできます。
本記事では、アルミボートのデッキを製作する場合に、知っておきたい知識や作り方を解説していますので、興味がある方は参考にしてみてください。
この記事の内容
アルミボートのデッキは自作できるの?
結論から言いますとデッキは自作することができます。
実際にアルミボートのデッキというのは販売店がお客様の要望を聞いて、スタッフが一台一台手作業で作られています。
しかし、専門的な知識や経験や工具が必要で、誰でも簡単にできるというものではありません。
僕はサウザーJW-11からウィザードWP-330VWに乗り換えてデッキ製作にチャレンジしましたが、一日約5時間の作業を行って5日間の日数がかかりました。
ここまでするなら最初から依頼した方が良いんじゃないか?と思いましたけど、DIYで作った方が安く済んだのと、自由にカスタムすることができて、結果的に作って良かったと思っています。
必要な工具・材料など
使用した工具
- ジグソー
- 電動ドリル
- ハンドリベッター&リベット
- タッカー
- メジャー
- ホワイトマーカーペン
- コードリール
- ハサミ、カッター、マジック、ガムテープ
デッキを自作するにあたって必要な工具をご紹介します。
ジグソーはコンパネとアルミアングルの切断、ドリルはリベット打ち込み時の穴開け、ハンドリベッター&リベットはアルミアングルの固定、タッカーはデッキにマリンカーペットを貼るときに使用します。
また、ボートを採寸するメジャーは必須、ホワイトマーカーペンもマリンカーペットをカットする目印を付けるために用意した方が良いです。
ジグソーとドリルがコンセント式の場合はコードリールがあると便利です。
その他は、ハサミ、カッター、マジック、ガムテープ等があると色々役に立ちます。
購入した材料
名称 | サイズ・容量 | 個数 | 用途 |
---|---|---|---|
マリンカーペット | 2m/4m | 1 | デッキに貼り付け |
コンパネ | 1800×900×12mm | 3 | デッキの板材 |
ラワンランバーコア | 1820×910×15mm | 1 | バウデッキの板材 |
ナイロンテープ | 約1m | 1 | デッキの取手 |
アルミアングル | 3.0×20×30×1m | 1 | バウデッキの骨組み |
3.0×30×30×2m | 2 | デッキの骨組み | |
ちょっとナッター | HNC06R | 1 | バウデッキの脱着 |
フィットノブ | M6 | 4 | バウデッキの脱着 |
サンドペーパー | 粗め | 1 | アルミアングルの角の処理 |
ボンドG10 | 1kg | 2 | 板材にカーペットを接着 |
ボンドG17スプレー | 430ml | 2 | 浮力体にカーペットを接着 |
木材防虫防腐ソート | 1L | 1 | デッキの防腐処理 |
ペイント刷毛 | – | 1 | デッキの防腐処理 |
洗浄用シンナー | 1L | 1 | ボンドの後処理 |
材料はマリンカーペット以外、ホームセンターで全て揃います。
全部説明すると長くなりますので大事な部分だけ説明すると…
ラワンランバーコアという合板はバウデッキで使い、それ以外はコンパネをメインの板材として使います。
ボートの浮力体にカーペットを貼るボンドは、スプレータイプのG17が作業しやすく、コンパネに貼るときは缶タイプが容量的にお得です。
また、洗浄用シンナーは無くても良いですが、作業中にボンドが誤ってアルミボートに付いてしまうとなかなか取れないので、シンナーを付けて擦ると簡単に剥がすことができます。
マリンカーペットはBEEBOATの製品、それ以外はホームセンターやアマゾンで購入して、合計4万くらいの費用がかかりました。
アルミボートのデッキの作り方
今回キャスティングシートとオフセットマウントは取り付けしませんので省略しています。
作業の流れとしては「採寸→アングル取付→コンパネカット→防腐処理→カーペット貼り→採寸…」この繰り返しが多いです。
1.浮力体にカーペット貼り付け
まず始めにボートの浮力体を採寸して、必要量のカーペットを貼り付けます。
周辺にボンドが付かないようにダンボールやガムテープでマスキングして、G17スプレーボンドを浮力体に吹きかけ接着していきます。
このとき浮力体の3面同時に接着するのではなく、前側・上側・後側の順番に各面ごとに分けて接着していくと上手くいきます。
2.バウデッキ作成
アングルを取り付け
下準備としてバウデッキを脱着できる仕組みを作ります。
アングルを12cmくらいにカットして、ちょっとナッターでブラインドナットを取り付け、M6のボルトにフィットノブを装着したものを4つ作成しました。
アングルの角は尖って危険ですのでサンドペーパーで丸く削っておきます。
アングルを取り付ける位置を決めたら、アングルとボートの両方にドリルで穴を開けてリベットを打ちます。
4点の支えでは強度的に不安なので、フロントにも長めのアングルを取り付けました。
バウデッキの切り出し
バウデッキの板材はラワンランバーコアという15mmの合板を使い、バウの内側に入るようにジグソーで切り出します。
カーペットの厚みを考慮して、前後左右5mm程度小さめに切り出し、合わせては削ってを繰り返し調整します。
切り出しが完了したら木材防虫防腐ソートを塗って防腐処理を行い、乾いたらG10ボンドを塗ってカーペットを貼り、重いものを乗せて圧着します。
ボンドが接着できた頃にカーペットを折り返して角を処理して、折り返す面にもボンドを塗りタッカーで止めます。
完成したバウデッキをボートに乗せて、最初に取り付けたアングルのブラインドナットの位置にM6のボルトが通る穴を4箇所開け、脱着できるように調整します。
バウデッキの補強
バウデッキは重いエレキを付けるため強度が必要です。
WP-330VWはバウデッキの横幅が広く、上に乗ると板がたわんで強度不足を感じましたので、裏面に12mmのコンパネを貼り合わせて2重構造としました。
更にアルミ平角パイプを追加して補強しましたので、人が乗ってもたわむことなく十分な強度が得られます。
最後にエレキマウントを取り付けたらバウデッキの完成です!
3.フロントデッキ作成
デッキを乗せるアングルをボートに取り付けます。
位置が確定したらアングルをジグソーで切断して、リベットやナットで固定します。
フロントデッキは上段が定番と思いますが、今回は中段に組むことにましたので、Tの字にアングルを組みました。
カーペットを貼っている場所にリベットを打つ場合は板厚に注意する必要があり、リベット径4.0mm、適正カシメ板厚は3.2~6.4mmまたは4.8~8.0mmくらいのリベットを使います。
アングルの取り付けができたら、採寸してカーペットの厚みを考慮しながらコンパネを切り出します。
後はバウデッキと同じように防腐材を塗ってカーペットを貼ります。
4.センターデッキ作成
WP-330VWはセンターデッキの下に太いフレームが2本入っています。
今回は下段デッキとするためにアングルは付けず、フレームの上にデッキを直接置く形としました。
フルフラットにするなら浮力体にアングルを取り付けてその上にデッキを乗せます。
それ以外はフロントデッキやバウデッキと同じで、採寸してコンパネを切り出し、防腐材を塗ってカーペットを貼ります。
凹加工が大変ですけど、WP-330VWはセンターデッキを下段にする場合にアングルの取り付けを省略できるので、思っていたより簡単でした。
5.リアデッキ作成
トランサムと浮力体の後側にアングルを取り付けます。
トランサムのアングルは浮力体のアングルと水平になるように何度も調整を行い、位置を確定させてリベットを打ちます。
アングルを取り付けたら、採寸してコンパネを切り出し、防腐材を塗ってカーペットを貼ります。
6.完成
全てのデッキができたら完成です!
今回ご紹介した手順は僕なりのやり方で作りましたが、先にアングルを全部組み終えてからコンパネのカットとカーペット貼りに移る方がスムーズかもしれません。
板の大きさを細かく調整したり、防腐材やボンドが乾く時間を待っていると、一日があっという間に終わってしまいます。
時間はかかったとしても、少しづつ丁寧に加工した方がより正確なデッキに仕上げられるかと思います。
便利な小技
ナイロンテープでデッキの取手を作成
最後にデッキを取り外ししやすいようにナイロンテープの取手を装着します。
ナイロンテープを20cmくらいの長さに切り、切った面を軽くライターで炙ってほつれないようにしてビズで止めます。
デッキがぴったりハマっていると素手ではなかなか外れなくなるので、付けておいた方が後々便利です。
ボンドG10の缶のノズルを厚紙で代用
缶タイプのボンドはそのまま使うと、ボンドが垂れてしまいます。
それを防ぐために、厚紙やダンボールなどで仮のノズルを作ると、ボンドを効率よく使うことができますので、覚えておいた方が役に立つでしょう。
カーペットの角の処理
カーペットをコンパネの裏面に折り返すときは、上記画像のようにカーペットを束ねてハサミで根本を切るときれいに合わせることができます。
まとめ
アルミボートのデッキの製作手順をご紹介しました。
あくまで素人レベルの作業ですので不十分な点もあるかもしれません。
日曜大工だと相当時間がかかって大変ですけど、デッキを作れる環境と工具を使う技術があれば、やってできないことはないです。
無理に自作を勧める訳ではありませんが、WP-330VW以外に他のアルミボートでも同じ手順で作れるのではないでしょうか。
アルミボートを所有している方のデッキの作り直しや手直しの参考になれば幸いです。
コメント一覧
大変参考になりました!ありがとうございます。
アングル取付工程のドリルで穴開けするの怖いな~(笑)
オフセットマウント仕様について質問です。
一概には言えない所もあると思いますが、使い易さや疲れ具合等を考えると、どちらがオススメですか?
前回されていた様でなので、どうなのかと思いまして。いつも質問ばかりで申し訳ございませんm(__)m
>yokoさん
参考にいただきありがとうございます!
穴開けは位置に失敗しないように、かなり気を使いました…笑
オフセットマウントはペダルを自由な場所に置けないことが不満で、僕は無い方が使いやすかったです。
ペダルを真ん中ではなく、少し右寄りや前寄りに置いたりしたくて、オフセットマウント仕様にするとそれができなくなってしまいますからね…
本当に一概には言えないですが、使い易さや疲れ具合は慣れが大きく、人それぞれかな…と思っています(^^;
確かにエレキの段差は気になる所ですが、勝手の良い位置に動かせないのも難点ですね。かっこ良く見えるんですけどね(^-^)コメントありがとうございます。参考にさせていただきます❗️
>yokoさん
見た目はオフセットマウント仕様の方がかっこいいですね!
サウザーは船体のアングルにオフセットトレイが付いていて取り外しできなかったですけど、自作ならフロントデッキにオフセットトレイを取り付けたものを作ると、後々修正が効きやすいかと思います(^^)
参考にしてみてください!
ありがとうございます!参考にさせていただきますm(__)m
初めまして。
いきなりの質問で申し訳ないのですが、ボートを載せてるトレーラーはblast11でしょうか?
当方、WP-330VW用のトレーラーを探しておりましてこのブログにたどり着きました。
御回答頂けると嬉しいです。
>たくさん
コメントありがとうございます。
WP-330VW用のトレーラーを探しておられるんですね。
トレーラーはBLAST-10に載せております。
WP-330VWは横幅が広いため、BLAST-10ではフェンダーとフェンダーの間にボートが入らず、バンクを上げてボートをやや高い位置に載せる格好になります。
更に、WP-330VWはバウも広いのでバウデッキの角が牽引車と旋回で接触する可能性があり、やや後ろ寄りにボートを載せる必要がありました。
軽トレーラーでWP-330VWは少し不利な点がありますが、今のところ問題なく使用できています。
僕は駐車場の関係でBLAST-10を使っているのですが、WP-330VWは普通トレーラーの方が良く、BLAST-12か14の方がマッチしていると思いました。
ご参考にいただければ幸いです。
ご丁寧な解答ありがとう御座います。
大変良く分かりました。
機会がありましたらトレーラーの事なんかも記事にしていただけたら嬉しいです。特に免許不要艇のトレーラー運用に関しては需要あるんじゃないかと思います。
私も駐車場の問題があったりするので大変参考になりました。
ありがとうございました。
>たくさん
お役に立ててよかったです!
トレーラーの事も機会があれば記事にしたいと思います。
もう一つ気になった点は、BLAST-10は足回りの板バネが硬く、重量の軽いWP-330VWは走行中に道の段差などで跳ねます。
そこで、BLAST-JN11に標準装着されているカヤバショックアブソーバーを購入してBLAST-10に取り付けたらかなり収まりました。
そのため軽トレーラーを選ぶならBLAST-JN11の方が良く、普通トレーラーでも予算があればカヤバショックアブソーバーを追加した方がよろしいかと思います。
確かに免許不要艇のトレーラー運用は需要ありますね。
トレーラーの維持費だけでカートップに近い手軽さが魅力です。
じっくり検討されてみてください。
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