近年は新製品リールが出るとよく話題となるのがギア素材、今年は20メタニウムにブラスギアが搭載され大きな注目を浴びました。
リールに詳しい方なら基本的な内容かもしれませんが、ギア素材について質問されることが良くあるのと、どのリールにどのギア素材が使われているのか、おさらいしてみたいと思います。
シマノのベイトリール・スピニングリールで使用されているドライブギアの材質には、以下の2つがあります。
- ブラス(真鍮“しんちゅう”)
- 超々ジュラルミン
この記事では上記の2つのギアについて、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説していきます。
ブラスギア(真鍮ギア)とは?
ブラスギアのメリット
- 巻き心地が良い
- 強度と耐久性がある
- 劣化しにくい
ブラスギアのデメリット
- 重い
ブラスは19アンタレスや20メタニウム、カルカッタコンクエストシリーズなど、ベイトリールの主流となっているギア素材です。
メリットは巻き心地が良く強度と耐久性があり、負荷のかかる釣りや剛性を必要とするリールにはブラスギアが向いています。
デメリットは材質が重いのでリールの自重が重くなってしまうこと。軽さを重視するリールには超々ジュラルミンギアが使われることが多いです。
超々ジュラルミンギアとは?
超々ジュラルミンギアのメリット
- 軽い
- 強度はブラスギアとほぼ同じ
- 感度が良い
超々ジュラルミンギアのデメリット
- 劣化すると巻き心地が悪い
- 耐久性が劣る
- グリスが乾きやすい
超々ジュラルミンギアはスピニングリールを中心として、ベイトリールでは16メタニウムMGL・16アルデバランBFS XGなど、軽さを必要とするリールに使われています。
超々ジュラルミンの強度はブラスとほとんど変わりません。
しかし耐久性が弱く、負荷がかかり続けると目に見えない傷や摩耗でギアが劣化し、グリス切れも起こしやすいことでゴリゴリシャリシャリとした巻き感になるという欠点があります。
超々ジュラルミンはギアの強度を落とすことなくリールの自重を軽くすることができるので、タックル全体を軽量化でき感度も良くなるというメリットがあります。
ブラス(真鍮)と超々ジュラルミンの特徴と違い
右:ブラス(真鍮)
- 重い
- 柔らかい
- 加工が簡単なため安価
左:超々ジュラルミン
- 軽い
- 硬い
- 加工が難しく高価
ブラスは銅と亜鉛の合金で出来ているため柔らかく、加工が簡単で価格も安いのが特徴です。
超々ジュラルミンはアルミ合金で出来ており加工に手間がかかるため、価格が高いという特徴があります。
一見、超々ジュラルミンが良いように思えますが、硬さは以下のようなデメリットになります。
16メタニウムMGLのゴリ感
16メタニウムMGLの巻き心地の悪さはよく話を聞きますが、原因はマイクロモジュールギアと超々ジュラルミンの組み合わせで起こります。
ブラスはギア表面の目が粗くグリスの潤滑性が良いが、超々ジュラルミンは目が細くグリスが流れ落ちやすい、更にマイクロモジュールギアによってグリスが乾きやすく、段々と劣化して巻き心地が悪くなっていきます。
簡単に言うと超々ジュラルミンギアは硬すぎてギアノイズが伝わりやすく敏感ということですね。
逆にブラスは柔らかいのでギア同士が噛み合ったとき当たりが良く、劣化が遅いということです。
ギアは硬ければよいという訳ではなく、適度な柔らかさがあった方がリールのギアに向いているということでしょう。
リールに違和感を感じたときは、粘度の高いシマノのプレミアムグリスを塗ると多少改善できる場合もありますので、興味のある方はお試しください。
各リールのギア材質一覧
シマノのサイトには、どの材質が使用されているか見ることができる「仕様一覧」という表があり、そこでブラス(真鍮)か超々ジュラルミンか知ることができます。
2020年の製品はこの記事を書いている段階でまだ載っていませんでしたので、2019年の表を載せておきます。
ベイトリール
ベイトリールはメタニウム・アルデバラン・スコーピオンBFSの3機種以外は、全てのリールにブラスギアが使われています。
価格は関係なく用途でブラスか超々ジュラルミンかを決めているようで、今年は20メタニウムが登場しましたから、超々ジュラルミンのベイトリールはアルデバランとスコーピオンBFSのみになりますね。
唯一不満だったのは16メタニウムMGLが超々ジュラルミンだったことでしたので、ギアへの悩みは今後減ってくることでしょう。
スピニングリール
スピニングリールは一部のモデルに亜鉛という強度が低い素材が使われていますが、主流は超々ジュラルミンでピニオンギアにブラス、素材違いのギアを噛み合わせることで耐久性がアップするそうです。
ステラだけはドライブギアに特殊表面処理が施されており、これがステラでしか味わえない巻き心地の正体ですね。
ボディやローターの材質が違うだけでも巻き感が変わってくるので、ギアよりもトータルでいい素材を使っているリールが巻き心地が良いという感じです。
まとめ
皆さんご存知と思いますがシマノは自転車のギアとしても有名で、その技術がリールにも反映されています。
ギアの特性から言うと、フィネスや感度を必要とするリールは超々ジュラルミン、ビッグベイトや巻物を中心に基本的な用途ではブラスギアを採用したリールが最適ということですね。
ブラスギアと超々ジュラルミンギアの特徴を知っておくと、リール購入時などで何かと役に立ちます。