パッケージの“究極の自己満足”というキャッチフレーズが印象的な匠ベアリングシリーズ。
ベアリング交換は効果がないという話もよく聞きますが、実際はキャストフィールや巻き心地に大きく影響してきます。
最近では様々なメーカーから高精度なベアリングが発売されていますけど、その中で匠ベアリングが気になった方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は以下のような疑問にお応えします。
- 匠ベアリングってどうなの?
- 回転性能・飛距離・耐久性は?
- 匠ベアリングの種類や使い分けが知りたい!
今回は「遠投式」と「本多式」を使ったインプレを交えつつ、匠ベアリングの種類を解説したいと思います。
匠ベアリングを検討されている方は参考にしてみてください。
この記事の内容
匠ベアリングのインプレ
まずは筆者が「遠投式」と「本多式」を組み込んで、約半年間使った感想を書いておきたいと思います。
以前はヘッジホッグスタジオの「かっ飛びチューニングキット」を入れていましたが、最近では匠ベアリングも良いと聞くことが多くなり、試しに導入した次第です。
遠投式(ロングディスタンス)
遠投式は21アンタレスHGに組み込み、中量級ルアーやビッグベイトを中心に使っています。
21アンタレスHGは純正でもかなり飛距離が出るリールですが、相乗効果を狙って遠投式に決めました。
遠投式を入れて感じたことは、軽い力で投げても初速が早くなり、気持ちよく飛んでいくようになります。
飛距離はあまり変わらない印象ですが、純正ベアリングよりも飛ぶようになったのは確かで、飛距離にこだわるなら間違いなく遠投式がおすすめですね。
飛距離よりも回転性能が良くキャストフィールが滑らかになったというのが遠投式に変えて一番体感したことですね。
耐久性に関しては、半年程度では性能の衰えを全く感じら得ず、スムーズな回転を維持できています。
ただ回転が良すぎるためか若干ピーキーになり、少し慣れが必要なように思いました。
本多式(中量級バーサタイル)
本多式は18バンタムHGに組み込み、撃物や巻物で使っていました。
こちらも遠投式と似た使用感ではありますが、更にキャストフィールが滑らかになります。
純正ベアリングよりも剛性感が増してブレの少ないマイルドなフィーリングを味わうことができます。
飛距離は全く変わりませんが、遠投式と違ってピーキーな感じが少なく、ロングキャストでもショートキャストでも扱いやすいベアリングですね。
本多式と遠投式を使ってどちらも共通して言えることは、滑らかなキャストフィールと上質な巻き心地を体感できることです。
純正ベアリングしか使ったことがない方は、きっとその違いを感じることができると思います。
匠ベアリングとは?
匠ベアリングは、株式会社GOLDMANが運営する「GOLDWORKS」からリリースされているリール用の高級ベアリングです。
大量に製造された国産ベアリングの中から厳しい判断基準で選別され、最終的に製品になるのはわずか30%という、高品質なベアリングになっています。
また、ベアリング一つ一つに特殊なコーティングを施し、用途に合わせたオイルで仕上げられています。
詳しくはGOLDWORKSさんの公式ホームページを参照されてください。
匠ベアリングの種類
匠ベアリングのラインナップは、ベイト用のベアリング(軸受)が4種類、スピニング用のドラグベアリングが2種類、ハンドルノブ用が2種類ラインナップされています。
また、フルベアリングにカスタムできる究極式と、ビッグベイトに特化した大夢式もあります。
- ベイト用 三式(加藤式/本多式/遠投式)
- ベイト用 極特化(加藤式/破)
- スピニング用(コクチ式/多芸式)
- ハンドルノブ用 二式(自転式/無転式)
- フルベアリング 究極式
- フラッグシップ 大夢式
それぞれ簡単に解説していきます。
ベイト用 三式
出典:GOLDWorks
匠ベアリング 加藤式 | 匠ベアリング 本多式 | 匠ベアリング 遠投式 | |
---|---|---|---|
個数 | 2個セット | 2個セット | 2個セット |
価格 | 2,550円(税込) | 2,550円(税込) | 2,550円(税込) |
機種 | ダイワ・シマノ・アブ | ダイワ・シマノ・アブ | ダイワ・シマノ・アブ |
用途 | 軽量級ルアー全般 ベイトフィネス向け ライトプラッギング等 |
中〜重量級ルアー全般 巻物向け オールラウンドに使いたい |
重量級ルアー全般 とにかく飛距離が欲しい |
匠ベアリングで基本となるのがこの三式です。
それぞれの使い分けとしては…
- 加藤式:ベイトフィネスや軽いルアー向け
- 本多式:巻物を中心に何でもこなせるオールラウンダー
- 遠投式:とにかく飛距離が欲しい人向け
この三式は用途に合わせたチューニングとオイルで仕上げられており、スプールベアリングを検討している方はまずはこの中から選ぶと良いでしょう。
ベイト用 極特化
出典:GOLDWorks
匠ベアリング 加藤式/破 | 匠ベアリング 加藤式/破 | |
---|---|---|
個数 | 2個セット | 2個セット |
価格 | 2,550円(税込) | 2,550円(税込) |
機種 | ダイワ(Air系) | シマノ(BFS系) |
規格 | 630×630 | 730×730 |
用途 | ベイトフィネス専用 | ベイトフィネス専用 |
極特化は加藤式をさらにアップグレードしてベイトフィネス専用にチューニングされたモデルです。
高回転仕様で初速が早くなり、軽いリグやルアーでも軽々キャストできます。
ベイトフィネスリールに匠ベアリングを入れるならほぼこれ一択でしょう。
スピニング用
出典:GOLDWorks
匠ベアリング コクチ式 | 匠ベアリング 多芸式 | |
---|---|---|
個数 | 2個セット | 2個セット |
価格 | 3,260円(税込) | 3,260円(税込) |
機種 | ダイワ・シマノ・アブ | ダイワ・シマノ・アブ |
用途 | ドラグベアリング | ドラグベアリング |
備考 | ドラグ専用匠グリス5g付 | ドラグ専用匠グリス5g付 |
コクチ式と多芸式はスピニングリールのドラグ用のベアリングです。
エントリークラスやミドルクラスのスピニングリールは、ドラグベアリングがカラー(樹脂ベアリング)の場合が多く、それを交換することでドラグ性能を向上させることができます。
コクチ式はスプールの滑り出しを重視したベアリング、多芸式は少し高めの粘度のオイルを使用して、淡水海水問わず様々な用途に使用できるベアリングです。
ハンドルノブ用 二式
出典:GOLDWorks
匠ベアリング 自転式 | 匠ベアリング 無転式 | |
---|---|---|
個数・価格 | 4個 2,240円(税込) 2個 1,120円(税込) |
4個 2,240円(税込) |
機種 | ダイワ・シマノ・アブ | ダイワ・シマノ・アブ |
適合 | スピニング・ベイト | スピニング・ベイト |
用途 | ハンドルノブ用ベアリング | ハンドルノブ用ベアリング |
自転式と無転式はハンドルノブ用のベアリングです。
スピニング・ベイトの両方に対応し、4個入りと2個入りが選べます。
自転式はノブの回転性能が良く巻き感度を高めたモデル、無転式は自転式をベースに中高粘度のオイルで仕上げて、ノブのノイズや回転を抑えたモデルです。
無転式だから回らないということはなく、濃いオイルで回転が抑えられノイズに強くなっています。
一般的な用途では自転式が万能だと思いますが、ビッグベイトでは無転式が良いでしょう。
フルベアリング 究極式(スピニング・ベイト)
出典:GOLDWorks
製品名 | 匠ベアリング 究極式 |
---|---|
機種 | ダイワ・シマノ・アブ |
用途 | 全ベアリングまたは樹脂ベアリング交換用 |
究極式とはGOLDWORKSさんにオーバーホールを依頼して、リールに組み込まれているベアリングを匠ベアリングに全替えしてくれるサービスです。
そのため、ベアリングの個数はリールによって異なり、価格はコースによって変わってきます。
詳しくはGOLDWORKSさんの公式ホームページを参照されてください。
フラッグシップ 大夢式(ビッグベイト専用)
出典:GOLDWorks
製品名 | フラッグシップ 大夢式 |
---|---|
個数 | 2個セット |
規格 | 1030×1150 or 1030×1030 |
粘度 | 高粘度、中高粘度、中粘度より選択 |
価格 | 4,600円(税込) |
大夢式は匠ベアリングシリーズの中でフラッグシップモデルとなるベアリングです。
通常のシリーズよりもおおよそ2倍の工程を経て仕上げられており、コーティングは通常4層コーティングに対し、大夢式は8層コーティングとなっています。
また、使用されているオイルを高粘度・中高粘度・中粘度から選ぶことができ、タックルによって好みの粘度を選ぶことができます。
ビッグベイトを想定したベアリングですので規格は少ないですが、品質や性能など全てにおいて最高峰のベアリングと言っても過言ではないでしょう。
フラッグシップ大夢式の用途
- 高粘度:4ozオーバーのジャイアントベイト
- 中高粘度:2oz〜4ozの中型ビッグベイト
- 中粘度:10g〜2ozの一般的なルアーから小型ビッグベイト
推奨オイルはグリッチオイル
匠ベアリングはグリッチオイルを推奨されています。
そのため、メンテナンスで注油する場合はグリッチオイルから適切な粘度のオイルを選ぶようにしましょう。
使用するオイルの粘度は次の表を参考にしてみてください。
製品名 | 仕上粘度 | 推奨オイル |
---|---|---|
匠ベアリング 加藤式 | 低粘度 | HIGH SPEC RUNBIKE OIL |
匠ベアリング 本多式 | 中粘度 | TUMBLE WEED |
匠ベアリング 遠投式 | 超低粘度 | HIGH SPEC RUNBIKE OIL |
匠ベアリング コクチ式 | 低粘度 | HIGH SPEC RUNBIKE OIL |
匠ベアリング 多芸式 | 中高粘度 | TUMBLE WEED |
匠ベアリング 自転式 | 中粘度 | HIGH SPEC RUNBIKE OIL |
匠ベアリング 無転式 | 高粘度 | ROSA |
匠ベアリング フラッグシップ 大夢式 | 高粘度 | EVO-500 |
匠ベアリング フラッグシップ 大夢式 | 中高粘度 | TUMBLE WEED / EVO-500 |
匠ベアリング フラッグシップ 大夢式 | 中粘度 | TUMBLE WEED |
※表はあくまで目安です。
以前は下記のオイルも推奨されていましたが、最近ではグリッチオイルを推奨されているようです。
- 【ZPI】F-0 PRO オイル ナノフィネス
- 【HEDGEHOG STUDIO】アルケミーオイル ウルトラライト
- 【BORED】METHOD/LIGHT DUTY
- 【IOSファクトリー】IOS-01 PRO / IOS-02 PRO / IOS-007 PRO オイル
かっ飛びチューニングキットと比較
かっ飛びチューニングキットと比較した感想も書いておきたいと思います。
筆者はこれまでかっ飛びチューニングキットのAIR HDというセラミックベアリングを入れていました。
まず、セラミックベアリングは回転が軽く飛距離も飛ぶのですが、めちゃくちゃピーキーなベアリングです。
逆に匠ベアリングは上質でマイルドなベアリングです。
飛距離は確実にAIR HDの方が飛びますが、フィーリングや巻き心地を重視するなら匠ベアリングですね。
特に中〜重量級のルアーを投げるには匠ベアリングが安定感があって使いやすく、逆にベイトフィネスなど軽量ルアーならセラミックのAIR HDが向いているように思います。
まとめ
匠ベアリングは高品質で滑らかなキャストフィールと巻き心地を体感できる上質なベアリングです。
ベアリングの性能はもちろんですけど、グリッチオイルを使用されているのでその効果も大きいのではないかと思いました。
今回は遠投式と本多式のみのインプレですので、機会があれば他のベアリングも検討しようと思います。
高級ベアリングながら価格もルアー代くらいと考えれば決して高い方ではなく、ベアリングを交換するだけでリールの性能を更に引き出せるのでおすすめです。
匠ベアリングの検討されている方は是非試してみてください。